2020年10月05日
アジアにおけるキャッシュレス決済事情

世界と比較した時に、日本のキャッシュレス決済に対する普及率、浸透率は非常に低い値です。少し前のデータいなりますが野村総合研究所が2018年に公開した調査報告書によると、日本のキャッシュレス比率(カード決済+e-money決済)は2007年に13.6%、2016年に19.8%であったと報告されています。最近では、マイナンバーカードを使ったキャッシュレス決済のポイント還元「マイナポイント事業」がスタートするなど、国も企業もそれぞれにキャンペーンを実施し、市場は大きな賑わいとなりました。しかし裏を返せば、キャッシュレス戦国時代と称されるほど決定的なものがなく、日本でのモバイル決済の浸透には、まだまだ時間がかかりそうです。

その一方で、世界では着々とモバイル決済利用の環境整備が進んでいます。コロナ禍が落ち着いたころに海外旅行をすると、様々な国でモバイル決済が気軽に行われている姿に驚くことでしょう。本記事では、日本から近いアジア圏のモバイル決済事情について紹介します。

 

 

 

中国

支付宝(Alipay

微信支付(WeChat pay

世界を見渡して、最もキャッシュレス決済が進んでいる国といっても過言ではない中国。現在では、日常生活における買い物はもちろんこと、首都北京では道端の屋台や露店ですらキャッシュレス決済で商品を購入できるお店が増えています。興味深いのは、国の政府機関主導でキャッシュレス化を推進している国が多い中で、中国は、民間企業主導で巨大モバイル決済市場を築き上げたという背景があります。

中国本土のキャッシュレス/モバイル決済の先駆けとなったのは、中国の巨人アリババグループの「支付宝(Alipay)」です。2004年に中国国内でサービス展開。圧倒的なシェアを獲得し、中国本土のキャッシュレス/モバイル決済市場を独占します。

しかし2013年にチャットアプリ「WeChat」を運営するテンセントが「微信支付(WeChat pay)」でモバイル決済市場に参入。「微信支付」の機能の1つ、仲間同士で簡易に送金が行える機能が中国国民に大ヒットするとともに、テンセントがあらゆる店のレジに「微信支付」のQRコードを張り付けたことで、モバイル決済が急激に浸透していきました。

現在では、この2つのモバイルペイアプリが中国キャッシュレス/モバイル決済市場の約90%を占めており、2大巨頭として覇権争いをしています。

 

 

タイ

Rabbit Line Pay

日本では「Line」のモバイル決済アプリ「Line Pay」の利用がなかなか広がらない現状がある中で、タイは「Line Pay」の活用が積極的に進められています。各国ごとに人気のチャットアプリは異なりますが、、タイでは日本産の「Line」の利用が非常に人気です。それに伴い、「Line Pay」の人気も自然に高まり、現在タイでは、主要モバイル決済アプリの1つとされています。また、「Line Pay」と提携した「Rabbit Line Pay」は、鉄道料金の支払いや、駅構内店舗でのモバイル決済が可能なほか、公共料金の支払いが即座にできることから、急激に人気が高まりつつあります。

タイ政府は、2036年までに国内産業を押し上げ、先進諸国の仲間入りを目指すことを宣言した「タイランド4.0」を2015年に発表し、目標達成の重要課題として、デジタル技術の進歩の重要性が挙げています。こうした背景もありモバイル決済の拡大を政府が後押しする形を取っています。対応可能なエリアや店舗はまだそれほど多くはありませんが、都市部ではタイで人気の名物である「屋台」においてもモバイル決済ができるようになりつつあり、今後利用が急速に進んでいくことが予想されています。

 

 

韓国

SAMSUNG Pay

お隣韓国は、キャッシュレス化が非常に進んでいる国として知られており、野村総合研究所の同調査では、2016年の時点でキャッシュレス比率が96.4%と、調査国の中で最も高い値でした。韓国では、多くの中国人観光客に対応するため、先に挙げた中国のキャッシュレス/モバイル決済アプリを対応させる店舗が増えてきます。しかし韓国のモバイル市場を独占しているのは、韓国の巨大企業SAMSUNGが運営する「SAMSUNG Pay」で、約80%のシェアを誇ると言われています。

2016年1月、韓国の中央銀行(BOK)は、効率的かつ安全なキャッシュレス取引の拡大を2020年までに目指すという「Payment System Policy Roadmap – Vision 2020」を発表しました。韓国のキャッシュレス化は着実に進んでいくと考えられます。

 

 

フィリピン

GCash

フィリピンでは、銀行口座を持っていない家庭が86%にも上ることから(中央銀行調べ)、資産を安全に管理することができるモバイル決済に注目が集まっています。「2020年までにすべての金銭取引の20%をキャッシュレス化する」という方針を掲げたフィリピン中央銀行が旗振り役となり、いくつかの民間企業がモバイル決済アプリを開発、認知度が高まってきました。その中でも、フィリピンの大手電気通信事業者「Globe Telecom」が提供する「GCash」は人気のアプリとなっており、現在2000万人以上の人々が利用していると言われています。しかしながら、マニラなどの中心都市部ではモバイル決済対応店舗が増加している一方、それ以外の多くの地域では、利用環境が整備されていないという課題が多く残り、今後、どのようにモバイル決済の利用が広まっていくかについて注目が集まっています。

 

 

インドネシア

Go Pay

インドネシアでは、インドネシア国民へのモバイル決済アプリの利用を政府が積極的に呼びかけています。インドネシアでは、15歳以上の約半数が銀行口座を所有していないと言われており、資産の管理が大きな課題となる中、携帯電話の普及率は91%と非常に高く、政府はそこに目を付け、モバイル決済の拡大を推し進めています。アジアにおいて急激にモバイル決済市場が成長している国の一つです。

インドネシアでは、「Go Pay」が人気アプリの1つです。運営しているGo-Jekは配車サービス等も展開しており、宅配事業、買い物代行サービスなどとモバイル決済アプリの相性がマッチしており利用者の数を着実に伸ばしています。「Go Pay」は、今後はインドネシア国内だけでなく、東南アジアにもサービスを拡大する見込みとのことです。

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